専攻概要

材料化学専攻

高度な科学技術にもとづく社会の発展にともない、多種多様な新しい物質や新しい材料の開発に対する要請がますます強くなっています。これは、まぎれもなく、これら新物質・新材料の開発を行う先端化学が、現在の人類社会の生活及び産業基盤を支えていることにほかなりません。また、化学が将来において果すべき役割に、ますます期待が膨らんでいることを物語っています。

化学はいま、新物質を作る技術に加えて、物質を構成する分子の生い立ちや性質を調べ、物質特有の機能を探索する学問に変貌しつつあります。材料化学専攻では、無機材料、有機材料、高分子材料、ナノマテリアルを中心に、その構造と性質・反応性を分子レベル及びナノレベルで解明しながら、新しい機能や性質をもった材料を化学的に設計するとともに、その創製方法を確立することを目的として研究・教育を行っています。

材料化学専攻は、機能材料設計学講座(専任講座)、無機材料化学講座(基幹講座:無機構造化学分野、応用固体化学分野)、有機材料化学講座(基幹講座:有機反応化学分野、天然物有機化学分野、材料解析化学分野)、高分子材料化学講座(基幹講座:高分子機能物性分野、生体材料化学分野)、ナノマテリアル講座(基幹講座:ナノマテリアル分野)の5講座9分野で構成されています。

本専攻では、統合的科学に基づいた新規機能材料の開発を推進するため、専攻内のみならず専攻を越えた研究交流や研究協力体制の構築を進めています。また、外国からの学生、研究者の受け入れや海外の研究機関との連携も積極的に推進し、材料研究の国際的な研究・教育拠点となるよう、研究・教育環境の整備を図っています。

高分子化学専攻

高分子は人類の現代生活を支える必需品として、産業の基幹となる資材として、さらに化学・繊維から医療や電子産業、航空宇宙分野まで、豊かな社会と先端技術を実現する機能材料として、幅広い領域に展開しています。21 世紀に入って、高分子が活躍する分野はますます拡大し、人間社会における重要性も増しています。

高分子化学は、基礎学問としての物質科学と、実用的なニーズを背景とする応用科学とが融合した学問分野であり、基礎-応用、合成-物性、理論-実験、有機-無機、ミクロ-マクロ等々、さまざまな視点において幅広いスペクトルをもつ分野です。したがって高分子化学専攻では、基幹講座として合成講座と物性講座及び専任講座として先端機能高分子講座を配し、多様で特色ある研究室が有機的に結びついて研究を行うとともに、下表のようにいくつもの部局に協力講座(化学研究所:3研究室、再生医科学研究所:2研究室)を有し、緊密なネットワーク研究体制を組織しています。

とくに当専攻では、光・電子・情報分野、高機能材料、再生医療、ナノテクノロジーなど、次々と生まれる高分子の発展分野を支えるため、高分子の生成、反応、構造、物性、機能について基礎研究と教育を行うとともに、その成果を社会に還元し、関連する学術分野との連携を通して、新たな科学技術の創成に貢献することを目指しています。また、高分子を基礎とする先端領域において活躍できる能力を備えた研究者、技術者の養成をしています。(就職内定率100%)そのような実績が認められて2002 年に21 世紀COE、2005 年に「魅力ある大学院教育」イニシアティブ、さらに2007 年にグローバルCOE「統合物質科学」に採択され、教育研究拠点として若手研究者の育成を積極的に行ってきました。

以上のように、本専攻は、幅広い高分子化学の各分野においてトップレベルの研究者が集まり一専攻を形成し、国際的にも高く評価されている組織であり、一分子の精密合成から集合構造の構築・制御、さらにマクロ物性・機能に至るまで、高分子物質の総合的研究に取り組むことにより、今後とも世界における高分子研究の中心として、教育研究活動を行います。