概要・理念・教育方針

先端化学コースへの招待

先端化学コースでは,学部でしっかりとした基礎を身につけ,大学院(修士課程、 博士後期課程)で,より専門的で高度な研究と勉学に進むのがよいという考えに立っています.また,学部を出て社会に出て行く場合でも,基礎の大切さは言うまでもありません. 将来の選択にあたっては,基礎化学・基礎科学のベースを持っていることが大事です.

それによって,選択肢が広がり,化学がかかわっている広大な領域の中で何が自分にフィットするのかについて,より良い見通しをえることができます.さらに大事なことは,基礎なくして先端はない,創造的な研究はしっかりした基礎があるからこそなし得るのだということです.これは,1981年にノーベル化学賞を受賞された福井謙一先生の,「本当に重要な基礎研究は,応用研究につながる」,「応用をやるなら基礎をやれ」という視点でもあります.先端化学コースでは,2回生後期から卒業までの2年半は,このために大切な期間であると考えています.

基礎・原理をしっかりと身につけたい人,創造的な展開のベースを作りたい人,最先端の立場から行う質の高い基礎教育を受けたい人,基礎だけでなくより進んだ勉強をしてみたい人,基礎をベースに幅の広い専門科目の勉強をしたい人は,このコースでやりがいのある勉強をすることができます.選択にあたっては「基礎=易しい=単位が取りやすい」とは限らないことにも注意しておいてください.

概要1

先端化学コースの教育プログラム

充実した基礎教育

先端化学コースは,2回生後期から4回生までの2年半の間に,将来,化学のかかわる広い分野で活躍するために必要な基礎・原理を,学生の皆さんがしっかりと身につけることに重点をおいた教育カリキュラムを提供します.教育の特徴は、基礎を確実に身につけるための充実した教育プログラムと,それをベースにした多くの選択科目群の提供です.

先端化学コースのカリキュラムは,2年生前期までのカリキュラムから,より程度の高い内容にスムーズに入っていくように配慮した構成を取っています.この目的のために,物理化学I,II,III,有機化学I,II,III,無機化学I.II,分析化学I,生化学I,II は,それぞれ2クラス(1クラス60人)で開講し,きめ細かい教育を行います.

科学英語は3クラス(1クラス40人)で開講します.科学の最先端の論文を正確に読み取る力,それをベースに正確に意味をつたえることができる文章を書く力を,学生の皆さんが身につけることを目的として,少人数のクラスで密度の高い講義を行います.英語によるコミュニケーションスキルを磨くためのプログラムも積極的に取り入れます.

現代化学入門と広く深い専門科目群の提供

こうした基礎教育と同時に,なぜこれらの科目の勉強が必要なのか,それが現在や将来の最先端(フロンティア)とどうかかわっているのかを明らかにすることを重視した講義をおこないます.このために,2年後期では「最先端の化学入門」,3年前期では「グリーンケミストリー概論」を開講します.地球環境,生命,社会との関わりの中で,学生の皆さんが化学を学ぶことの意味を考えることが出来る機会を設けます.

基礎から進んでより深い学習をしたい人のために,また広い範囲の知識を吸収したい人のために,3回生からは広い範囲をカバーし,しかも主題をしぼった専門科目群を提供します.

豊かな教育力とていねいな指導

先端化学コースの教育を担当する教員は,基礎化学から応用化学の広い範囲で,最先端の研究にかかわっています.この先端がしっかりしているからこそ,基礎を生き生きと教えることができるのだと考えています.この意味で,先端化学コースは,質,量ともに豊かな教育力をもった教員が担当します.

教育における質の確保のために,先端化学コースでは,詳細なシラバスを作り,学習の内容と評価の基準を明確にします.質問や相談に気軽に来ることができるように吉田キャンパスでオフィスアワーを設けるなど,学生と教員とのコンタクトを重視し,その機会を増やします.

豊富な卒業研究の選択肢

先端化学コースは,卒業研究において,豊富な選択肢を提供します.先端化学コースでは,物質エネルギー化学専攻,分子工学専攻,合成・生物化学専攻の専任・基幹講座の教員とエネルギー科学研究科エネルギー反応学講座の教員,およびそれに協力する化学研究所,複合原子力科学研究所,エネルギー理工学研究所,国際融合創造センター,福井謙一記念研究センターの教員が教育を担当します.これに対応して,これらの教員が行っている最先端の研究は,化学の広い領域をカバーしています.卒業研究を行うにあたっては30以上の研究室の中から,大きな自由度で進路の選択をすることができます.

これらの研究室は,大学院では,先端化学専攻群に所属しており大学院においても諸君を歓迎しております.

概要2