浅野むつみ(あさのむつみ)さん/大阪府出身

京都大学工学部工業化学科(2007年度卒業)
京都大学大学院工学研究科(2009年度修了) 
在学時の所属研究室:材料化学専攻 有機反応化学分野(松原研究室)
現在:塩野義製薬株式会社 創薬化学研究所 創薬先端化学部門 研究ITグループ

有機化合物で実生活に貢献
製薬業界で夢を叶える

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どうして京大工業化学科へ? 所属研究室選びの決め手は?

高校3年生のとき、使用していた洗顔料の成分に授業で習ったような有機化合物が使われていることに気づきました。それまでは学校の勉強内容と日常生活を切り離して考えてきましたが、有機化学が日常で当たり前のように使っている製品に活かされていることを実感。有機化学を専門にし、その知識を実生活に応用したいと考え、京大工業化学科に進学しました。

有機化学を専門にしている研究室を全て見学し、そこで研究している先輩方の話を聞いて決定。研究したいテーマを自分たちで見つけて研究を行なっているという姿勢がとても楽しそうで印象的でした。私もそんな先輩方と一緒に研究をしたいと思いました。

学部、大学院での研究

有機亜鉛反応剤を利用した新規反応の開発をしていました。この反応剤は研究室のオリジナルで、とても特徴的な構造をしており、特殊な反応性・特性を持っています。その特性をうまく利用できるような新しい反応を見つけ、その反応がうまくいく条件を見つける研究です。また、どのような順番で分子変換が起こりその反応が進行しているのかということについても計算化学を用いて明らかにしました。

京大工業化学科の魅力

工業化学科は非常に歴史のある学科ですので、化学を学ぶ場としておすすめです。有機化学だけでなく幅広く化学の知識を得ることができます。

京大工業化学科の思い出

一番の思い出は、研究室で過ごした期間。それまでは学校は授業を受ける場所でどちらかというと受動的な感覚でしたが、研究室では自分が主体となって能動的に研究を進めていました。決められた時間割ではなく研究の時間管理も自分で行ない、1日のほとんどを研究室のメンバーと研究をして過ごすことが、これまでの経験と全く異なり密度の濃い期間でした。

就職の決め手

有機化合物を分子レベルで役立てたいと考え、製薬業界で研究することを選びました。化学者がデザイン・合成した分子そのものが将来薬になる可能性があり、自分自身の手で合成した化合物で多くの人々に貢献できることに魅力を感じました。

お仕事

入社して7年間は薬の候補となるような化合物をデザイン・合成する研究を行ないました。色々な疾患のテーマを担当し、高い薬効だけでなく化合物の安定性や毒性の軽減など様々な角度から化合物の性質を調整する研究を通じて非常に多くの経験をさせてもらいました。その後、研究ITグループへ異動し、研究で用いるITシステムの管理・開発を行なったり、研究データの分析をして創薬研究をより効率的に進められるように解析を行なったりしています。

会社では多様な専門の方と協力しながら1つのプロジェクトを進めることがよくあります。他の専門の方とお仕事をする際は、知識不足で難しく感じることもありますが、自分とは違った着眼点を学ぶ良い機会になります。合成研究をしていた時は自分のアイデアで少しずつ薬効の高い化合物に仕上がっていく過程が、今のIT部門ではより研究のしやすいシステムの開発をすることが面白いと感じています。今後も研究の進めやすいシステム環境を提案し実現できるよう貢献していきたいと思います。

仕事に役立っている工業化学科での学び

有機合成化学の知識を創薬研究に役立てることができました。創薬研究で活用した知識の基礎となる部分は全て大学や大学院で学んだものです。また、学部時代の情報処理の授業で学んだプログラミングの知識は、現在のIT部署でのシステム開発・データ解析の際に大変役立っています。

後輩へのメッセージ

目先の勉強する内容だけでなく、その知識を将来どのようなことに活用できるのか是非イメージを広げてみてください。化学の知識は恐らく想像以上に様々な分野で活用されているのでたくさんの気づきがあると思います。そして貴重な学生生活を悔いのないよう最大限に満喫して良い思い出をたくさん作ってください。

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