信太 佑介(のぶた ゆうすけ)さん/北海道出身

京都大学工学部工業化学科(2012年度卒業)
京都大学大学院工学研究科 修士課程(2014年度修了)
在学時の所属研究室:化学工学専攻 反応工学研究室(河瀬研究室)/環境プロセス工学研究室(前研究室)
現在:サントリーホールディングス株式会社(2022年現在コロンビア大学留学中)

ケミカルエンジニアの
基礎を課題で習得

コロンビアビジネススクールのキャンパスにて
コロンビアビジネススクールのキャンパスにて

どうして京大工業化学科へ?所属研究室選びの決め手は?

化学とモノづくりに興味があり、京都に漠然と憧れがあったため。
授業を受ける中で特に興味のある分野や魅力を感じた教授の研究室に決めました。

学部、大学院での研究

学部では反応工学研究室に所属し、燃料電池触媒の有効活用を目的とした反応速度解析を行っていました。
大学院では環境プロセス工学研究室(当時)に所属し、バイオマスを有用物質へ高効率で変換するための触媒・溶媒・反応条件を組み合わせ、プロセス開発を行っていました。

京大工業化学科の魅力

工業化学科化学プロセス工学コースの4回生が受講する「プロセス設計」は、これまで勉強してきた化学工学の知識を総動員して化学プラントの設計を数カ月にわたって行う課題です。タフな課題ではありますが、これまでの講義で得た知識を実践的に活用することでケミカルエンジニアとしての第一歩を踏み出せます。
テーマ選定のための論文検索・論文理解や研究室内での報告会に向けた資料作成、教授や先輩方とのディスカッション、最終報告会などを通して、研究者としての基礎をひと通り身につけることができる、大変優れた課題だと思います。

ここで苦労したおかげで、実際に自分の手を動かす面白さを実感し、現業にも通じるケミカルエンジニアの基礎を学ぶことができ、その後の自信に繋がったと思います。
もちろん日々の授業・研究、工場見学、卒業生と語る会、国内外での学会発表、研究室旅行などのイベントがあるのも魅力です。

京大工業化学科の思い出は?

前述した「プロセス設計」に加えて、化学工学専攻のプログラムの一環で参加したドイツの化学会社での2カ月間のインターンシップも、その後のキャリアに影響する経験となりました。
寮生活をしながら研究所に通勤し、それまでの知識や経験を応用して実験を組み立てたり、英語のディスカッションを行う生活は大変刺激的でした。その期間にうまくいった経験・いかなかった経験の全てが、今留学している原動力になっています。職場経験だけではなく、現地の大学生とも交流することができ、非常に貴重な経験を積むことができました。

就職の決め手

元々お酒に興味があったこと、サントリーのものづくりへの熱意を感じ、エンジニアが厚遇される印象を受けたこと、海外志向の企業であること、おおらかな社風が社員の方々の気さくな人柄に表れていたこと、などです。

お仕事

現在はアメリカのコロンビアビジネススクールに留学し、MBA(経営学修士)の取得を目指しています。グローバルに活躍するためのリーダーシップや企業戦略・会計・財務・経済学・マーケティング・データサイエンスなど、ビジネスをより多角的に見るために必要な分野を学んでいます。

渡米前はサントリーの酒類開発部門で、焼酎・ジン・ウオッカなどの蒸溜酒を開発するチームに所属していました。蒸溜器(機)をはじめとする製造設備の設計、新たな酒を開発するためのプロセス開発、さらには店頭に並ぶ新製品のブレンドを担当することもありました。
直近ではウイスキー工場のプラント設計という弊社のビジネスの根幹をなす業務にも携わることができ、苦労とともに大きなやりがいも感じました。

仕事に役立っている工業化学科での学び

蒸溜技術の開発をメインに仕事をしていますが、プロセス設計・授業・研究で身につけた知識や経験がダイレクトに活かせています。
また、教授や先輩とのディスカッションで培ったロジカルな考え方、シンプルな伝え方は国を問わず大いに活かされています。

後輩へのメッセージ

大学は皆さんがこれまでにいたコミュニティに比べ、より多様なバックグラウンドを持った個性的な人間が集まる場所だと思います。いろいろな人に出会うことで自分の視野が広がり、考え方や価値観が変わっていく場所だと思います。今私は30代で2回目の大学生活を送っていますが、こういった環境は他に代えがたく、やはり刺激的で楽しいものです。皆さんもぜひ大学生活を楽しんでください。

海外の蒸溜機メーカーにて
海外の蒸溜機メーカーにて

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