西森(村上)加奈 (にしもり かな)さん/東京都出身

京都大学工学部工業化学科(2014年度卒業)
京都大学大学院工学研究科 修士課程(2016年度卒業)
京都大学大学院工学研究科 博士後期課程(2019年度修了)
在学時の所属研究室:高分子化学専攻 高分子生成論分野 澤本研究室、大内研究室
現在:三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center Polymer Laboratory

世界トップレベルの講義で
化学の奥深さに夢中に

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どうして京大工業化学科へ?

高校の化学実験の授業が楽しくて、化学の分野に進学しようと考えていました。京大を選んだ第一の理由は、京大の自由な学風と学問の基礎を大事にするところに惹かれたからです。将来自分が確立した基礎研究の成果を世界の誰かが使ってくれて、世の中に役に立つものができたら良いなと当時は想像していました。他にも、一人暮らしをして早く独立したかったことと、京都という歴史ある街が好きだったのも決め手でした。

所属研究室選びの決め手は?

漠然と博士課程への憧れがあったので、まずは博士課程に進学した学生が多くいる研究室に着目しました。どの分野にするかは、実際に手を動かしてモノを合成できて、基礎研究で、かつ比較的新しい学問分野に挑戦したいと考えて、高分子合成の研究室を選びました。

学部、大学院での研究

天然高分子であるDNAやタンパク質が配列由来の構造や機能を発現しているように、合成高分子においても配列を制御することができたなら、一体どんな構造・機能が発現するのか、そもそもどうやったら天然高分子のように配列を精密に制御できるのかーー。
これらの問いに対して学部4回生から博士後期課程修了までの6年間、指導教官である大内先生の下で合成高分子の配列精密制御と配列由来の機能創出に向けた分子設計を行いました。
日々の研究活動に加えて、フランス・パリの大学への留学、学内外の研究所や企業との共同研究も積極的に行いました。国内外のトップレベルの研究者との交流を通して新たな視点・考え方に触れることができ、研究室内だけではできない貴重な経験をさせていただきました。

京大工業化学科の魅力

化学のあらゆる分野の、世界トップレベルの研究を行っている先生方の講義が学部1回生の時から聴講できるところだと思います。有機化学、無機化学、高分子化学、物理化学、生物化学など化学の色々な分野を体系立てて深く学ぶことができ、化学の膨大さ、奥深さ、面白さに夢中になりました。社会人になった今、当時の講義のありがたさをさらに実感しています。

京大工業化学科の思い出は?

1回生の時に初めて受けた有機化学の講義です。講義内容はSp3混成軌道など分子の軌道の話だったと思うのですが、「そうそう、こういう授業が聴きたかった!これが大学の授業か〜!」という内容で、高校の化学の授業を聞いてモヤモヤしていたところが全てクリアになるような、聴いていてワクワクする授業でした。

就職の決め手

自分が開発したものを世界中の人に使ってほしい、高分子化学だけでなく色々な分野の研究者と関わりながら研究をしていきたい、という思いから、B to Bの総合化学メーカーである三菱ケミカルに就職しました。

お仕事

海外の大学と連携した新しい素材の開発とその用途探索を行っていました。会社での研究は、これまでやったことのない大きいスケールでの合成や実用化に向けた素材の改良検討など、大学での研究とは違った難しさがあり面白いです。現在は産休と1年間の育休を取得して、子育てに奮闘中です。

仕事に役立っている工業化学科での学び

講義や研究室生活で得られた化学の幅広い基礎知識や論理的に考えて伝える力はもちろんのこと、中でも一番役に立っていると感じるのは、3年間の博士課程で得た経験だと思います。
博士課程では与えられたテーマを遂行するだけではなく、自ら積極的に課題を見つけて研究し、論文として結果を残していく必要があります。この博士課程で身についた「自ら課題を見つけて解決する力」が、会社での研究を行う上でもとても役に立っています。

後輩へのメッセージ

自分の専門分野以外にも色々な分野に興味を持って、積極的に学んでください。自分のやる気と積極性さえあれば、なんでもできる環境が揃っています。

博士号授与式の後,指導教官の大内先生と。大内先生が持っているのは博士論文。
博士号授与式の後,指導教官の大内先生と。大内先生が持っているのは博士論文。

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